幕間劇

(オリジナル)


「以上がL.F.Sの稼動データです」
飾り気の無い一室でデータを読み上げた男がそう締めくくった。四角いテーブルには左右に数人が、奥に一人の男が座っている。
「私は、イーサン・ウェーバーに使わせて欲しいと言ったはずだったのだがね」
奥に座っていた男が机の上で両手を組み、その上に顎を乗せてそう呟いた。
「しかし、ルムア設計主任・・・ウェーバーがあれを渡したガーディアンはL.F.Sを想定値以上に使う事ができた訳で」
もしイーサンがこの場にいたら驚いたであろう・・・釈明した男は、パルムでイーサンにヒュージカッターMk2を託した男であった。
「それは結果論に過ぎないのだよ・・・確かに興味深い数値ではあるがね。で、このガ−ディアンはどうなったのかね?」
「コロニー落着の際に行方不明になっています。どうやら、L.F.Sを使用しての戦闘後、居住区から移動したと思われます」
「ふむ・・・その場にいれば助かったのだがね。生きていればいい実験体になったのだが・・・」
ルムアは立ち上がり、背後にあったブラインドを開ける。そこには復興中のホルテス・シティの景色が広がっていた。
「イルミナス・・・いや、ハウザーがSEEDを本格的に動かす前にあれを完成させなければならない・・・」
ルムアの呟きは部屋の男達には聞こえなかった・・・

モトゥブのガーディアンズ支部・・・
メインシステムが落ちたままのそこは依然混乱したままである。
「荷物はどこに置いてきたのかな?なのですよ〜」
「イーサンに近く、かつ最も遠い場所ですよ。お姉さま」
フィレアの謎掛けめいた言葉に暫し天井を見上げ、ポンッと手を打つ
「・・・よく、引き取ってくれたものなのですよ〜」
「『本来ならば追い出す所ですが、怪我人に門前払いをするような者は教団にはおりません』・・・だそうです」
ある男の真似を口調だけでなく、身振りまで交えて説明するフィレア。
「まぁ、あの治療には最適なのですよ〜。あれが回復ししだい、ルウの計画通りに事を進めましょうなのですよ〜」
「了解、それまでは暫しの休暇といったところかな・・・」
と、フィレアがふと見た外では数人のビーストが乱闘騒ぎを起こしていた。

ニューディズのグラール教団本部の一室・・・
「巫女様、彼の治療が終わりました」
星霊主長ルツが戸口でそう言って一礼する。部屋の主は黙ったままそれに応える。
「一体彼に何が起こったのですか?体から星霊の気配がほとんど無くなっているなんて」
「彼は、全ての星霊の力を剣に変えて闇を払おうとしたのです。」
ルツの疑問の声に巫女は独り言のような口調でそれに答えた。
「ところで、今彼はどうしていますか?」
「依然そのままです。ここに運ばれてからずっと眠ったままです」
「そうですか・・・彼には再び目覚め、その力を振るって欲しいのですが・・・それに・・・」
巫女の後半の言葉はルツには全く聞こえなかった。
「彼を待っている者がいるのですから・・・」

巫女が呟いた丁度その時、同じ建物の一室、ベットで寝ていた男の瞼が微かに開いたのであった・・・


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