あるガーディアンのある普通の一日 Side-B

(オリジナル)


惑星パルムに広がるラフォン平原、先日目撃された謎の生物を一目見ようとする人でごった返していた。そして、いつしかその人たちをターゲットにした出店が立ち並び、さながらお祭りの様相をかもしだしていた。
 しかし、集まった人をターゲットに商売をするのは出店の人たちだけではない。スリや置き引き等を生業とする者たちもやってくる。そして、入り口付近とはいえ、原生生物の徘徊するラフォン平原という立地も考慮して、何人かのガーディアンが警護にあたっていた。と、そんなガーディアンの一人が怪しげな物体を人込みの中に見つける。
「なんだ、あの紫の物体は・・・」
『それ』は人込みの中でも頭一つ分大きい紫色の物体で、歩くたびに「ピヨッピヨッ」と音を立てている。そして、その周囲には風船が浮かんでいた。
「どした?」
呆然とするガーディアンに同僚が声をかけ、返事が無いのでその視線を追うが・・・
「ああ、あのラッピー着ぐるみか・・・あれもガーディアンだから気にしなくてしていい」
「ラッピー着ぐるみって、あの冗談としか思えなかったガーディアン・スーツか?」
「ああ、ガーディアンと見破られない、秘密警護用の服だ」
と、そこまで会話が進んだ所で二人の目があからさまに異様な空気を出しているそのラッピー姿に注がれ・・・。硬直した二人のその前を綿菓子を両手に持って幸せそうな顔の小柄なツインテールのビースト娘が横切る。
「秘密警護用???」
「ま、例外はあるがな・・・」
と、当のラッピー着ぐるみは一見のんびりと歩き回りながら子供達に風船を配っている。・・・とはいえ、1/3の子供はその巨体を怖がって逃げていたが・・・
「むっ?」
と、ラッピーの動きが止まる。その青い目の先には、子供に気をとられた母親の鞄から財布を抜き取ろうとするスリの姿があった。
「いけませんね・・・」
ラッピーは右手の風船を素早く左手のそれと束ね・・・、束ね終わった時には既に右手にハンドガンが出現していた。そのハンドガンを構え撃ち、ナノトランサーに格納、また風船に持ち変える。
ハンドガンの弾は財布を取ろうとしていたスリの右手にヒットし、スリは悲鳴をあげる。それに気付いた母親が悲鳴をあげ、近くにいたガーディアンが駆け寄って、スリを確保した。
「確保用の雷フォトン弾ピヨ。暫くすれば痺れは取れるピヨ〜」
一人呟き、何事もなかったようにまた風船を配り始める紫色のラッピー。それを見ていた最初のガーディアンが驚きから立ち直り
「何者なんだ?あのラッピーは・・・」
「オクリオル・ベイ、まぁ名前を覚えていて損はないガーディアンさ」
そんなやり取りを背に、紫の巨大ラッピーは今日も『こっそり』警護にあたるのであった。


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