灰かぶり剣士

(オリジナル)


 昔々・・・かどうかは分かりませんが、ある所にシンデレラドと呼ばれる青年がおりました。
・・・ああ、ナレーターに石を投げないで!!
彼は、幼いころに母を亡くし、父も再婚後に他界し、今は継母とその実の娘二人と住んでいました。3人はシンデレラドに一切の家事雑用をやらせた上に毎日いぢめぬいておりました。

今日もそんな一日が始まります。(チャンチャンチャンチャン〜♪)
「・・・どうでもいいが、なんで俺が継母役なんだ?」
そういう配役なんです、諦めてくださいレニオスさん。
「まぁ、今ひとつ釈然としないが。ぶっちゃけ、あの剣士をいびりぬけばいいんだろ?」
そんな身も蓋もない・・・
「まぁ、まかせろ。ほら、長女&次女・・・やっちまいな」
そんなどっかの秘密機関の指令みたいなポーズで言うと悪人ですよ。
「なに、問題ない。・・・って、そういえば「これ」は何版を元にしてるんだ?」
一般的なとこで一応ペロー版にしてますよ?
「うむ、それなら思いっきりやれる」
っていうか、思いっきり蹴りいれてますね。あの娘(?)二人。
「ん?俺は別に感情なんかこもってないぜ」(ゲシゲシ)
「私も役を忠実にこなしているだけです」(フミフミ)
ああ、次女なアルトさんに長女なゼロさん・・・その辺にしといた方が・・・
「何!?長女か次女やればあの剣士をボコれたのか!!俺も混ぜてくれぇぇぇぇぇ」

   
ゲシッ

「あ〜れ〜(キランッと星になる)」
場が混乱するから乱入するな、あんたの出番はもっと後ですよ、けだものさん。
「で・・・ナレーターさん」
なんです?シンデレラドさん
「俺は、いつまで踏みつけられたり、蹴られたりしてればいいんだ?いたたたた・・・」
・・・あ、今場面変えますね。え〜っと照明スイッチオフっと
『ちっ、少し物足りないが、この辺で勘弁してやらぁ〜』
暗転中に3人揃って問題発言はやめてください。

ある日のこと、お城の方から御触れが出ました。広場でその立て札を見る継母と娘二人、そしてシンデレラド
「まぁ、舞踏会ですってゼロお姉さま」
「このメンツだと武闘会ってオチも心配してたけど、それはなかったようですわねお母様」
「どうでもいいが、冷静になるとちと気持ち悪いな・・・」
そこで素に戻らないで下さい、レニ母さん。
「まぁ、王子様も出席されるそうよ、おめかししていってその目に止まれば、ウフフフフ」
「・・・それはいいがアルトよ」
「なんですレニ母様」
「この配役上、王子役は予想つくだろう・・・」
そこっ!!先読みしないで下さい。
「先読みも何も、あれが主役な以上、相手は決まりきってる訳でだなぁ。俺はロリ・・・」

しばらくお待ちください(ピアノソロなBGM)

「うわっ、レニしゃが巨大なテディベアに!?」
どうかしましたか、アルトさん?テディベアなんていませんよね?(ギロリ)
「・・・なんでもないぜ!!」
『マァ素敵、私モマダマダ現役デイケマシテヨ、オ前達ニハ負ケマセンワ』
「うわっ、このテディベア、カクカク動きつつしゃべってる!?」
テディベアってなんのことですか?ゼロさん?(ギロリ)
「・・・いや、(コホン)やだわぁ、お母様、少しはお年を考えになって」
妙にぎこちない動きで母に突っ込みを入れる長女。そこへ・・・
「あの〜」
『なんです!!シンデレラド』
巨大な荷物(3人の買い物)を抱えつつ、おずおずと手を挙げるシンデレラドを2人・・・基い、3人がギロリと睨む。それに一瞬怯えつつも、なんとか言葉を続けるシンデレラド。
「私も出席したいなぁ〜なんて思っちゃ・・・駄目ですかね?」
「あ〜ら、あなたのドレスは無くってよ」
「それとも、そのボロボロの服で行く気かしら」
『オマエハイエデルスバンダヨ』
2人と一体、じゃないや・・・3人に言われてしょげつつも荷物を持って家路につくシンデレラドでした。
・・・おっと、そこの大道具も持っていってください、シンデレラドさん
「え〜〜〜〜〜」

舞踏会の夜。
「では、私達が出かけている間、ちゃんと家の中の掃除をすませとくんだよ」
「さぼったら承知しないよ」
「・・・」
と、めいいっぱい着飾って家を出て行く三人。妙に似合ってるなぁセレブなドレス・・・
「というか、さっきからレニしゃじゃない、お母様の動きが機械的なんだが」
「何もしゃべらないし・・・」
細かいことは気にしちゃいけませんよ。
『は〜い』
何かに怯えるようにいそいそと城へ向かう三人の姿を窓から眺めて溜息をつくシンデレラド。
「はぁ〜、私も行きたかったなぁ〜、舞踏会」
「ぬわぁ〜らば、行かせてあげようではぬわぁ〜いか」
突然後ろから声がかかり、驚いて振り返ると。そこには浅黒い肌の長身の男が立っていました。鼻に横一文字の傷跡があり、右手にダルガン・ロッド、左手にブクラ・ファミ通、を持っています。そこ、シシテム的に無理だとかいわない!!
「うわぁ、こうきたかぁ・・・」
「私だって驚いているんどぅわぁぁぁ、とりあえず話をすすめようどぅうぇ〜ではないかぁ」
「え〜〜〜と、あなた何者!?っていうか不法侵入者?」
「私は、通りすがりのぜ、ぜ、ぜ、ぜ・・・・・」
「ぜ?」
一生懸命何かを言おうとしているが、顔を真っ赤にしつつもその先がいえない、謎の長身男、そしてそれを怪訝な顔でみつめるシンデレラド。
「いや、通りすがりなただの魔法使いだ」
え〜っと、台本では「善良な魔法使い」だったはず・・・こんな単語をそこまで嫌がるかね?ふつ〜。
「魔法使い?」
何事もなかったかのように話を進めるシンデレラド。
「そうだ、見た所、舞踏会に行きたいようだ、私が協力してあげよう」
「まぁ、ほんとうに?」
「私はたまにしか嘘は言わない」(←ダウト!!)
「ああ、本当に舞踏会にいけるのねぇ〜」
両手を広げてクルクル周るシンデレラド。
「それでだ・・・ここに書いてある物を直に集めてくるのだ」
と、リストを出す魔法使い。それを見たシンデレラドは・・・
「え〜っと、なになに・・・パンプキンヘッド一本にパノンオブジェ4つにモトゥブ始原祭の像1つに・・・ガーディアンズ・タグ1つに・・・イッグ・クラウン!!!!」
「これをすぐにそろえるのどぅわぁぁぁって、何をする!!」
突然手元にあったカリバーンで魔法使いに斬りかかるシンデレラド。
「そんな簡単にイッグ・クラウン持って来れたら、誰も苦労せんわぁぁぁぁ!!」
あ、いや・・・素に戻らないで・・・ここに一応揃えてあるので、持ってきた事に・・・
「あ、そうなん?あはははは、ゴメンね魔法使いさん」
「と、いうか・・・本気で斬られるかと思ったぞ・・・」
「はい、揃えてきましたよ」
ジト目で睨む魔法使いの前に言われた品々を置くラドルス。あ、イッグ・クラウン持ち逃げしたら追っ手を放つからね・・・
「チッ」
やっぱし・・・・
「では、少し離れて見ておいで・・・」
懐から何やら瓶を取り出し、シンデレラドの置いた品々にその中身の液体を振り掛ける魔法使い。
「このSEEDウィ・・・どぅうぇ〜はなかった・・・魔法の水で馬車と服が出てくるよ〜」
と、危ない事をつぶやく魔法使いの前で煙が立ち・・・
「うぉぉぉぉぉぉ、やっと出番だぜ!!」
その煙の中から丸縁眼鏡をかけたビーストの男がGH470の格好で立ち上がりました。
「・・・って、うぉぉぉぉい!!」
ああ、そこのシンデレラドさんのリクエストなので、文句はそちらに・・・
「アトデ、キル・・・」
コホンッ、煙が晴れると、そこには4頭の白馬に引かれたカボチャの馬車とピンクの半ズボン姿の御者がおりました。そして・・・
「うわぁ、かっこいい服・・・」
シンデレラドは魔法使いと色違いの青いコートを着ていました。
「悪の秘密結社御用達のダンディなコートだ、喜ぶがいい。それとこの剣を持っていくがいい」
と、魔法使いは光フォトンのソードを一振り差し出しました。
「腰に下げるといい。それともう一つ」
「なんですか?」
受け取ったソードを腰に下げながら応えるシンデレラド。
「その魔法は星霊が変わった時点で字自動的に消滅する。消滅後のアフタ〜サ〜ビスはな〜いのでそのつもりで・・・では、さらばだ!!」
ドロンッと煙と共に消える魔法使いには一瞥もくれずに既に馬車に乗っているシンデレラド。
「正直、南瓜って嫌いなんだけど、しゃ〜ないね。出発進行!!」
「って、ここは家の中ですぜ?」
「ああ、構わない構わない、さっさといけ、このけだもの」
御者の後頭部辺りにある小窓から足で御者を小突くシンデレラド。
「とほほ、やっぱりこんな役なんだ・・・」
肩を落としながら、馬に鞭を入れる御者にシンデレラド馬車の中で呟いた。
「だって、ジャバだしぃ〜」

 お城の大広間、大勢の出席者が食事やダンスを楽しんでいる一番上位の席でお徳用バニラアイスを直接スプーンですくって食べている、ガーディアン儀礼服の方が王子様です。
「んみゅぅ〜♪、やっと出番ですにゃ。アイスもこんだけ食べるとお腹一杯になってくるですね」
って、その周囲に山となっているアイスの箱、全部空き箱ですか!?それを遠目に眺めながらアルトとゼロが呟きます。
「やっぱり、りりなだったな・・・」
「王子じゃなくてお姫様だろ、あれ。詐欺だよなぁ〜」
「・・・」
そこ、いろいろと都合ってのがあるんですよ!!
「あ〜王子様、ここはどうですか、誰かを誘って腹ごなしに踊られては・・・ピヨ」
王子様の横に立つ巨大な紫ラッピーの大臣が王子様に耳打ちします。
「ん〜、それもいいかな・・・で、誰にしようかなぁ〜」
と、王子様が広場をぐるりと見渡していると。

  
ドゴン!!

何かがぶつかった音がして、広間が微かに揺れました。一同が何事かと思ってザワザワとしていると。
「やれやれ、ジャバ・・・じゃないや御者の奴、思いっきり壁にぶつけやがって」
フラフラと広間に入ってきたのはシンデレラドです。そして、ふと顔を上げると広間を見渡していた王子様を目が合ってしまいました。
「あの人にするですにゃ」
王子様はピョンッと椅子を降りると、トテテテテとシンデレラドにかけよりました。
「あ、あの〜」
突然目の前に立った王子様を「見下ろし」、シンデレラドは言葉に困っていました。そんなシンデレラドに王子様は手を差し出し、
「そこの方、私と一曲踊っていただけませんか?」
シンデレラドは黙ってその手をとりました。

「あれって、ダンスってよりも父親が娘をぶん回してるように見えるんだが」
「私もそう思う」
「・・・」
そこ!!一応皆が溜息をつくような踊りなんだから、ポワワンと眺める!!
「だって、身長差がなぁ〜」
それは確かに・・・。
と、言っている間にもお話は進んでいます。
「お名前をお聞きしてもいいですか?」
「通りすがりのへっぽこですわ、王子様」
などと、いい感じになってきたその時・・・
「もうすぐ星霊が変わるピヨ」
大臣が時計を見て呟いたさり気無い一言がなぜかシンデレラドの耳に入りました。
「やばっ」
慌てて、王子を床に立たせ、広間を出て行くシンデレラド。
「あっ、まってくださぁ〜い」
それを追いかける王子様。シンデレラドは階段をかけ下りていきます。というか、この長い階段、登るのきっついよなぁ〜。とか思っている間にも王子様とシンデレラドの距離は離れていきます。
「待ってって言ってるのです!!」
王子様は両手杖を取り出すと、ノス・ゾンデを放ちます。
「どわぁ!!」
腰のソードを抜き、何かのスイッチを入れるシンデレラド、刃が普通の光フォトンのそれよりも強く輝きます。その刃で飛んでくるノス・ゾンデの雷球を4つまでは斬り裂きましたが、5つめは足元で弾けます。ノス・ゾンデの転倒効果で転んだその時、ソードが落ちましたが、そのまま立ち上がり再び駆け出すシンデレラド。王子様は今度は弓を出し、チョウセイソウをセットして狙いをさだめます。
「りりな、目標を狙い撃つ!!」
危険な発言はやめろっちゅ〜てるでしょ!!立て続けに放たれる長距離射程のフォトンの矢を間一髪で避けながら、なんとかお城を脱出したシンデレラドでありました。
「ちっ、逃がしちゃいました・・・ん?」
呟きつつ、ふと足元を見た王子様の目にフォトンの刃が消えつつある一振りのソードがうつったのでありました。

 翌日、王子様から御触れがありました。
「このソードを一番上手く扱える方を探しているのですぅ〜。その方をお城にお迎えするのですにゃ」
このお触れに大勢の人間が挑戦しましたが、なぜか皆黒焦げになって帰ってきます。調査の方々は一軒一軒周ってソードの使い手を捜し始めました。それでも使い手は見つかりません。とうとう最後の一軒、シンデレラドの家になりました。
「そんなソードなんて使えないぜ俺は」
「私はアギトのが好み」
「・・・」
と、黒こげが嫌なのか試験そのものを拒む継母と長女&次女。お城の使いはシンデレラドにソードを差し出しました。おずおずとその柄に手を差し出すシンデレラド。と、お城の使いがノス・ゾンデを放ちました。
「!?」
とっさにその雷球をソードで斬り払うシンデレラド。
「おおっ、あなたが!!」
すぐさまお城に使い手発見の使いが出され、王子様がやってきました。
「みつけました。さぁ、お城へ行くですにゃ・・・嫌だと言っても連れて行きますけど」
その気迫に押されたシンデレラドはおずおずとお城に入り、それなりに楽しく暮らしましたとさ。
チャンチャン♪


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