魔法ビス子再臨 仲間もいるよ!?

(オリジナル)


 オウトク・シティにあるグラール教団本部にてある晩、騒ぎが起こった。ある事件で捕らえられていた元教団護衛士のが逃亡したのである。星霊主長ルツが直接指揮を執って捜索したが、逃亡者はオウトク・シティの夜の闇に消えていったのであった。
翌日の午後、ガーディアンズ・コロニー内で一人お茶をしていたジャバウォックにレニオスから緊急コールが入った。何事かと指示通りにオウトク・シティに到着したジャバウォックであったが・・・到着したジャバウォックに差し出されたのはナノトランサーであった。
「なんですこれ?」
「いいからつけろ」
訝しげな顔をしつつも、レニオスに命令された以上は・・・と、ナノトランサーを装着したジャバウォック・・・すると・・・
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ナノトランサーが勝手に作動し、ジャバウォックはピンクの半ズボン姿になっていた。装備もロッド中心なものになっている
「ハハハハハ、似合っているぞ」
「これって、例のアニメの主人公の格好じゃないですぁぁぁぁぁ」
怒鳴りつつもナノトランサーを外そうとするが・・・
「は、はずれない!!」
「ははははは、そいつは開発部の特別製でな今日の夜まで取れない」

 
これぞガーディアンズ、脅威の科学力!!

「・・・」
ジト目で睨むジャバウォックを無視してレニオスがジャバウォックを連れてある建物に入っていく。
「どこなんです、ここは」
「いや、ある施設でな。今日はここの所長さんに頼まれてあるイベントを開くことになった」
「イベント?」
と、話しながらジャバウォックとレニオスは狭い通路を歩き、やがてレニオスは立ち止まる。
「?」
「いいから、そこに立っていろ」
「????」
立ち止まったジャバウォックを確認して、レニオスが片手を挙げると・・・ジャバウォックの足元がせりあがっていく。
「ちょ、局長!!」
狼狽するジャバウォックににこやかな顔で手を振るレニオス。ジャバウォックはそのまま登っていく。やがて天井が左右に開き、ジャバウォックは上の階に登って行った。
「さぁ〜、ここでまじかる☆ジャバるんの登場だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そこはステージになっていて、封神がマイクを片手に叫んでいる。
「な、何をしているんだ・・・」
小声で封神に話しかけるジャバウォック。
「何って・・・『まじかる☆ジャバるんショ〜』だろ?」
「な!?」
一瞬の間の後、ステージから逃げようとするジャバウォックの服の裾を慌てて掴む封神。
「ジャバ、ジャバ!!あの子供達の瞳を裏切れるか?」
「子供達???」
振り向いたジャバウォックの視界に見えたのものは・・・

 
キラキラキラキラ〜〜〜〜☆

大勢の子供達の穢れない瞳であった
「ぐっ・・・」
その輝きにたじろぐジャバウォック・・・、なんとなく片手をあげて振ってしまう。
『じゃぁ〜ばぁ〜るぅ〜〜〜ん!!』
子供達の声援に一歩下がってしまうジャバウォック。
「聞いてないのか?SEED騒ぎで親を亡くした子供達の施設の慰問だって・・・」
「聞いてないぜ・・・」
封神の声に応えてトホホと内心肩を落とすジャバウォック。
「さて、今日はまじかる☆ジャバるんが来てくれた訳だがぁぁぁぁ」
と、ジャバの内心の落ち込みを気付きつつもスルーした封神が大袈裟な身振りでのマイクパフォーマンスをしていると・・・、ステージの反対側からゴーモンが一体現れる。
「着ぐるみ???」
ってことは、あれがステージの敵役かな?とジャバが思っていると
「おおおっとぉぉぉぉぉぉ、なんとこの施設にゴーモンが現れたぞぉぉぉぉ!!」
『きゃぁぁぁぁぁぁぁ』
封神の言葉に悲鳴を上げる子供達。しかし、一部の子供達が叫ぶ。
「ゴーモンなんてまじかる☆ジャバるんが倒してくれるさ!!」
「そのとおりだぁぁぁぁ、まじかる☆ジャバるんが星霊の力でゴーモンを倒してくれるぞ!!」
「おひ」
子供達の声に応えて封神が無責任な請け負いをしている。講義の声をあげるが当然無視される。
「ま、しゃ〜ね〜か・・・中身は黒コートの誰かだろうしな」
杖を構えてゴーモンの前に立つジャバ、その視界に・・・ステージの裾で何かサインを送っているゼロの姿が見える。
「ん?・・・その・・・ゴーモン・・・は・・・に・せ・も・の・だ?・・・いや、見れば分かるって」
と、そのゴーモンが片手を振るうと、ジャバウォックの足元が小爆発を起こす。寸前の所でジャバウォックはバックステップでかわすことが出来たが、直撃していたらかすり傷では済まなかったであろう
「はひっ!?」
驚きの声をあげつつも、熟練のガーディアンズの習性で間合いを取るジャバウォック。
「う〜む、中身が誰だか知らないが、本気で俺を倒す気っぽいよなぁ〜」
と、思っている間にも今度はフォイエを放つゴーモン。その狙いも本気でジャバウォックを倒すつもりで放ったものである。逆に狙いが正確だったお陰か難なくそれをかわすジャバウォック。
「俺、'また'何かやらかしたかなぁ〜、局長の差し金だろうからなぁ。」
フォイエの中をかわしながら考えるジャバウォック。考えても思い付く節がありすぎて特定ができない。考えているうちに間合いを詰め、そのまま殴りかかろうとしたジャバウォックであるが、そこである事に気付いた。
「・・・あ、今の得物・・・杖じゃん」
ゴーモンのカウンターパンチがジャバウォックにきれいに入った。

「あいつ・・・偽者だってサイン送ったのに見えてないのか?」
レニオスがステージの裾できれいに放物線を描いて飛ぶジャバウォックを見て呟く、先程トイレで眠らされたゴーモン役の愛好会員が見つかっている。現在ステージでゴーモンの着ぐるみを着ているのは・・・
「'子供大好き'な元教団護衛士・・・ね」
「いえ、正確には女の子だけですが・・・」
レニオスの呟きに訂正を加えたのは星霊主長ルツである。逃亡した犯人を追跡して、この施設にやってきたのである。
「まぁ、俺には理解できない世界だから、オブラートに包んだだけなんだが・・・」
「あ、又殴られた」
レニオスの苦笑に愛好会員の言葉が重なる。
「ふむ・・・フォースにライセンスを変えさせる機能も必要だったかな?」
「何冷静に突っ込んでるんですか・・・」
愛好会員が肩を竦めると、ステージの後方でなにやら声がした。
「何やら胸騒ぎがしたので来てみれば、半ズボンガピンチじゃないですか。助太刀しましょう!!」
ステージの後ろにどこから入ってきたのか、グレネードを構えた女性が立っている。
「おお、セイランさんか。助かる!!」
「フッ(微笑)・・・って、ふ〜さん?」
「おお、セイランさんか、ちっと手を貸してくれ」
起き上がったジャバウォックを一瞥してセイランは呟く。
「ちっ、ジャバだったか・・・私の半ズボンセンサーの調子が狂ったかな・・・」
「おい、そりゃどういう意味だ!!」
抗議の声を上げたジャバウォックの横をフォイエが飛んで行き・・・
「あ〜れ〜」
吹っ飛ぶセイラン・・・。それを裾から眺めて肩をすくめるレニオス。
「いい加減限界です。突入させてもらいます」
裾から出ようとするルツの肩をレニオスが掴む。
「なんですか?」
「・・・未だにショーだと思ってるあの子供を裏切れるのか?」
と、ステージの方を指差すレニオス。と、その方向を見るルツ

 キラキラキラキラ〜〜〜〜☆

「うっ」
子供達の純粋な目にたじろぐルツ。
「そこでだ、ショーという形を取ればいい訳なんだな」

「さぁぁぁぁぁ、どうしたんだ、まじかるジャバ☆るん!!まさかの大ピ〜〜〜〜ンチッ」
封神の実況の中、ジャバウォックは武器をセイバーに持ち替えてフォイエをかわすことに集中していた。
「間合いが詰められればなんとかなるんだが・・・」
と、その時ステージに笑い声が響く。思わず戦闘を中断して周囲を探るゴーモンとジャバウォック。
「あ、あそこだ!!」
子供の一人が天井近くを指差すと、そこにスポットライトが当たる。そこに浮かび上がったのは、白×赤の470オッソリアを着た長髪のニュマ男の姿であった。
「これ以上の狼藉、この・・・この・・・この・・・・」
ゴーモンをビシッと指差し、何かを言おうとした男であったが・・・暫く壊れた機械の様に同じ言葉を繰り返していたが、一度深呼吸をした上で意を決したように一気に口上を述べる。
「この、『らぶり〜☆ルッきょん』が許しません!!」

(一応)謎の助っ人らぶり〜☆ルッきょんの助けでゴーモンを倒したまじかる☆ジャバるんは子供達の喝采を浴びたのである。そしてその夜、グラール教団本部。
「主長様、明日の予定ですが・・・」
ルツの執務室、背を向けて椅子に座ったままのルツのその背中に向かって明日の予定を一読する秘書。一通り終わった所でルツは秘書に下がるように片手を振る。一礼して部屋を出た秘書は、廊下を暫く歩いた所で大笑いするのであった。
 秘書の笑い声が微かに聞こえるルツの執務室、先程巫女にも『お似合いですよ』と微笑まれ、周囲にも驚きと奇異の目で見られ、ルツの怒りは限界を超えようとしていた。しかし、この服がセットされたナノトランサーはなぜか取れないのであった。
「開発者の言葉を信じるならば、後4時間の辛抱です・・・しかし、あのレニオスとかいうガーディアン、ふざけた事をしてくれたものです・・・」
470オッソリアのまま、怒りで両拳を握り締めるルツであった。


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