穢れ無き娘と穢れきった者達

(ストーリーミッション:「イノセント・ガール」より)


 グラール太陽系内で唯一キャストの製造を許されている総合企業GRM、そこからガーディアンズに対してある依頼が出された。
曰く、次世代汎用型キャストの試作機「ヴィヴィアン」の基礎訓練に協力して欲しい。
訓練は同盟軍が作ったが、様々な問題が発生した為に破棄されたシュミレータを改修した「GRM Combat Simulator」、通称「GCS」で行われ、全4ステージをヴィヴィアンと共に進んでいくといったものであった。そしてその際にヴィヴィアンの質問にはしっかりとした回答をして欲しいとの要望もあった。
その依頼に対して、ガーディアンズはあるグループへその依頼を振ったのだが・・・

訓練一回目 レニオス
「彼女がヴィヴィアンです」
依頼主のチャーリー・アル博士が部屋に入ってきたキャストを示しで紹介する。
「・・・」
その姿を黙って見ているレニオス。
「・・・何か問題でも?」
その様子に怪訝な顔をするアル博士に対し、レニオスはまじめな顔で答えた。
「黒くないじゃないか・・・」
「は?」
「白い体に青い髪・・・縁起が悪い、捻くれたへっぽこキャストになってしまう・・」
呆然とするアル博士にレニオスは大真面目続け・・・
「それを回避する為には・・・」
暫く後・・・
「お引取り下さい!!」
との言葉と共に、GRM本社から放り出されたレニオスの手には黒のペンキ缶とハケが握られていた・・・

訓練二回目 アルト
パルムのラフォン平原を模した、シュミレータのステージ1でアルトとヴィヴィアンはヴァーラの一団を倒していた。そこへヴィヴィアンが遠慮しがちに尋ねる。
「え〜と、アルトさんはどのようにお呼びすればいいでしょうか?」
「お兄ちゃんだ!!」
ヴィヴィアンの問に即答するアルト
「お兄ちゃん・・・ですか?」
ヴィヴィアンの言葉にアルトはズイっと身を乗り出し、
「そうだ!!更に望むとすれば・・・呼ぶときは手を前で組んでもじもじし、少しうつむき加減でだな・・・」
更に力説するアルトをモニターで眺めながらレインは戻ってきた後のお仕置きは何にするか考えていた。

訓練三回目 ルミナス
ステージ3のHIVEで敵をSUVでなぎ払ったルミナスにヴィヴィアンが尋ねる
「あのぉ〜、ルミお姉様・・・」
「なぁに、ヴィヴィアン」
最初に、そういう風に呼ぶようにと言われた呼び方で呼ばれ、ルミナスは笑顔で振り向く
「突然ですが 私に向いている職業って何でしょう?
「お嫁さん!!」
「え〜っと・・・永久就職ということでしょうか・・・もしかして私 戦闘には向いてないですか?」
ルミナスの即答振りに何か嫌な予感がするヴィヴィアン・・・
「いえ、私のお嫁さんになるには、戦闘もこなしてもらわないと・・・」
笑顔でにじりよるルミナスに思わず後ずさりするヴィヴィアン・・・
「え〜っと・・・それはどういう・・・」
「それはね・・・」
と、ルミナスが言葉を続けようとした時、シュミレーターが強制終了し、部屋にGRMの社員が数人とルミナスの相棒、リーファが入ってくる。呆然とするヴィヴィアンの前でルミナスはGRM社員にロープでぐるぐる巻きにされ、「もう少しだったのにぃ〜」と叫びながら引きずられて出て行った。
最後に残ったリーファが顔の前に片手を立てて頭を下げる。
「あれ、可愛い女の子を見ると発症する病気みたいなものだから、気にしないでくれるといいなぁ」
「は、はぁ・・・」
かろうじて返事だけが出来たヴィヴィアンに再度一礼して、リーファはシュミレータールームを出て行った。

訓練四回目 オクリオル・ベイ
「ベイさんは 自由時間はいつも何をしているんですか?アル博士は自由時間になると いつも寝てしまって・・・」
「・・・自由時間ですかぴよ?」
ヴィヴィアンの問に紫の巨大なラッピーが振り返る。それを苦笑してみるヴィヴィアン。
「そうぴよね・・・風船を配ったり、子供と一緒に写真を撮ったりしているぴよ」
「・・・あの、もう一つ聞いてもいいですか?」
「なにぴよ?」
「その格好、それは普段着なんですか?」
ヴィヴィアンの再度の問に紫のラッピーは胸を張って応えた。
「隠密行動用、特殊スーツぴよ!!」
「・・・そうなんですか・・・」
ヴィヴィアンはその姿に関してはそれ以上は何も聞かないようにしようと決めた。

訓練五回目 ラドルス
メトロニアのステージで、襲い掛かってくるビーストを一刀で斬り払った剣士を見て、ヴィヴィアンは「あの・・・」と声をかけてから尋ねた。
「う〜ん、もうちょっとモンスターを簡単に倒せないものでしょうか。ラドルスさんの最強の武器ってなんですか?」
「そんなもの、人それぞれだよ」
青髪の剣士はそう言いながらソードを一振りして、その刀身についた血を落とす。
「なるほど!自分にあった武器が一番という事ですね!」
ヴィヴィアンの言葉にラドルスは周囲の安全を確認し、敵が居ないことを確認してから
「そう、万人にとって最強の武器なんてものはこの世に存在はしない。まぁ、何かを武器に例えてってものなら存在するかもしれないけれど・・・。そもそも、武器というものはだね・・・」
この時、ヴィヴィアンは・・・
「この感覚、これが嫌な予感というものなんですね」
と思っていた。そして、その予感は的中する。ラドルスの武器に対する講釈はこの後1時間に渡るのであった。

訓練後 ヴィヴィアン
「あの〜、アル博士・・・」
「どうしました、ヴィヴィアン?」
訓練後の記録整理をしているアル博士の所にやってきたのは、訓練期間が一段落したある日の事であった。
「一つお聞きしたいのですが・・・ガーディアンズという所は、あんな方々ばかりが集まっているんでしょうか?」
ヴィヴィアンの問に汗を一筋流しながらアル博士は暫し考え・・・
「まぁ、彼らは特殊なケースと思ってくれていいですよ。」
「はぁ・・・」
次回こそは・・・と思うヴィヴィアンであった。


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